Daisuke Ibi / NOISE DISTRACTION CREATIVE
原体験
16歳で周囲の大人たちが、何も知らないのに、知ったような口で文化を語っていると見抜いた僕はすぐに札幌に移住しました。何故「東京」ではなく「札幌」だったか、それは「SLANG」というバンドがいたからです。
ですから16では入場制限があるかもしれませんが、まず「SLANG」のLIVEを観に行きました。最前列は色とりどりのモヒカンのお兄ちゃんが殴り合っていたので、後ろの方から、こっそり見ていました。
「SLANG」はDIY精神の塊のようなバンドで「自分の事は、自分でやる」今の僕には刺さることですが、それをPCが普及する前から実行していました。その実行力は今や世界中のハードコア・シーンに影響を及ぼしています。
1970年代の後半に現れたPUNKブームより、DIY(Do It Yourself)精神は世界中を席巻していたはずなのに、そんな事は余波すら感じない生活をしていた僕に「俺たちを観ろ」と 「SLANG」はTV画面(1997年頃は、そういう深夜番組がありました)から言っているようでした。今の自主制作精神の原点は、ここにあると思っています。
彼らは未だにそのスタンスを変えず、活動を続けております。あの日の「SLANG」のLIVEは確かに僕を変えました。
低音のうねり、思い切りが伝わってくるドラム、耳をつんざくギター、ヴォーカルの咆哮、凄かったです。心に火が灯りました。格好良いのかどうかさえ、よく解りませんでしたが、どんな活動であろうと、その根底にあるのは、あの日見た「SLANG」が発していた情熱こそが、今も生きて、活動していられる僕の原体験に思います。
あれから何度もリーダーのKOさんを、見かけることはあったのですが、結局一度も話しかけられませんでした。スキンヘッドに首や手首まで見える刺青。鋲の付いた革ジャン、もう何て話しかけても「うるせーよ」と返されそうで、怖かったです。でも僕の活動の原点は、あの日のカウンター・アクションで培ったものに思います。
